運命の薄片
避けがたい死、度し難い人々、挿げ替えられる命
12月31日11時55分
愛しのナ行変格活用
青と炎上とコンクリートと
幸せを亡くして心を喪って
明日と憂患に虚栄の彼方
虞犯少年A
背徳の春告鳥
嬌笑と論駁の日々
----------
インスタント・キラー
形而上学に悶える
物若やかなる物案じ
雨上がりの文明開化
素晴らしきかな形容矛盾
アルミニウムの海
修正テープの嵐
芳ばしい葉緑素
妄言と紅葉の哀咽で
視界の端の狂言自殺
----------
知力振りかざすハゲワシ
パセティック・パニック
狂い始めた人形劇は終わらない
鏡の扉を叩く銀河
春風は海峡の額縁に
孤独の晴れ間に見える真珠
燃える真意、遠ざかる粉雪
自由落下は止まることなく
灰燼と空の甘いガラス
無力感製造所
----------
無情なる無常の危険思想
打ち捨てられた楽園
囚われの光
自由が開けた先の星
引き返す現実の波
さらばデモクラシー
知られざる物語
さようなら、と泣いた
土曜日の憂世話
離ればなれの新聞紙
----------
手負いの鳥の飛ぶ夢を
十六本足のタコ
理想に埋もれた現実の世界
抉り取られた敵意
戦禍と廃墟の中切り裂かれた糸
ニヒリズムに染まる
無関心は優しく酷で
不可避の内の逃げ道
そうして明日も地球は回る
困却の条痕と眠る頽廃と
----------